6月18日に発生した、高槻を震源とする直下型地震によって、塀が倒れ幼い命が失われました。
そうして、再び問題視されているのが、どこにでもある「ブロック塀」の危険性です。
戦後の建築ラッシュ時に、コストの安い遮へい壁や、防犯も兼ねた民家の外構壁として、ブロック塀は盛んに造られました。
当然のことながら、現在の建築基準法では、ブロック塀の耐震性は確保されてはいるのですが、
過去ものについては、老朽化や違法な構造等により、その危険性が放置されている場合も多いのです。
今回問題視されたブロック塀の安全性について、1981年の施行令改正で規定された現行の建築基準法では、震度6強から7の地震でも倒壊しない強度を求めています。
けれども、その一方で、地震による倒壊等の危険性をはらんだままの古いブロック塀が放置されているのも事実なのです。
そこで今回、国土交通省が、改めて既設のブロック塀の「危険度判定のチェック基準」を示し、安全点検の必要性を広く訴えています。
チェックポイントは次の6つです。
1つでも不適合があれば「危険だ!」というコトになります。1)塀は高すぎないか…塀の高さは地盤から2.2m以下か?
2)塀の厚さは十分か…塀の厚さは10cm以上か?(塀の高さが2m超~2.2m以下の場合は15cm以上)
3)「控え塀」はあるか?(塀の高さが1.2m超の場合)…塀の長さ3.4m以下毎に、塀の高さの1/5以上に突き出した「控え壁」があるか?
4)基礎があるか…コンクリートの基礎があるか?
5)塀は健全か…傾きやひび割れはないか?
6)塀に鉄筋は入っているか?では、自宅のブロック塀等で、不具合が見つかった場合はどうすればいいのでしょうか?
その危険性を取り除くためには、先ず、改修あるいは撤去によって、フェンスや生け垣といった別の物に取り換えるといったことが考えられます。
各自治体では、この費用に対する補助金制度を設けて、危険なブロック塀の撤去を促進しているのです。
その中で、特に留意しなければならないのが、どの助成制度を見ても、あくまで家の前の道路や、公園といった公共のスペースに面したブロック塀だけがその対象になっているということです。
つまり左右の隣地(民有地)や家の裏との間のブロック塀は対象外だということです。
次に、今回の災害を契機に、市街地の危険なブロック塀への対策が進み、ようやく高槻や大阪市、堺市等でも7月に助成制度をスタートさせました。
高槻の例では、ブロック塀の撤去費用のみの助成になっています。
補助額は実際に掛かった撤去費用の内、最大20万円までで、指定された通学路に面する塀については30万円迄、となっています。
特に、通学路の安全性に留意した形になっているのです。
現在、国交省の「通学路を含めた点検を!」の呼び掛けに対し、各自治体は教育委員会も含めて点検に回っています。
そして、応急的な対応として、学校施設のブロック塀等には注意を促す張り紙を張って告知しているという状況があります。
豊中市や吹田市では、基準に照らして危険性があると思われるブロック塀のある民家には、点検と安全対策を求めるチラシを投函しているんだそうです。
つまり個人の所有する家のブロック塀対策は「お願い」という形に留まっているのが実状なのです。
小学校を含めた公共施設のブロック塀は、行政の取組みの対象になりますが、個人の所有物である民家のブロック塀についいては、行政が出来ることは残念ながら限られています。
従って、個人の財産である塀の危険を取り除くかどうか?は、現状では「所有者の自覚」によるしかないのです。
撤去・改修には大きな費用が掛かってしまうのも事実ですが、所有する壁が老朽化し、通行人等にケガをさせてしまったような場合、所有者に重い責任が問われる場合があるということを再度認識しなければならないと、強く思いました。
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